こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
1.噛むことクイズ
さて問題です。
私たちは1回の食事で何回くらい噛んでいるでしょうか?
答えは600回。
これには個人差がありますが、現代人は一口で30回、10分程度の食事時間で、約600回くらい噛んでいるといわれています。現代人の食事は柔らかいものが多いのでこの程度ですが、昔の人は今よりも硬い食事を食べていたので、もっと多いようです。卑弥呼は4000回も食事の際に噛んでいたといわれています。
私たちははたくさん口を動かし噛んでいます。それも無意識のうちに口を動かして、上下の歯をカチカチとさせて噛んでいると思います。
この噛むということは、日常生活で本当に大切なことで、噛めなくなると様々な不自由を生じてしまいます。
2.噛むことに不自由があると・・・
噛めなくなったり噛むことに違和感を感じたり痛みを感じてしまうとどうなるでしょうか。
たとえば、お肉を噛みきれなくなったり、硬い野菜などをすりつぶせなくなったら、仕方ないので丸飲みをするようになります。丸飲みすると、食べ物の本来の味を味わうことができなくなり、食事の楽しみが減ってきます。また、必死に噛みちぎろうとするので、だんだんと顎が疲れてきて食事が苦痛に感じるようになってしまいます。
食事は生きるために重要であり、楽しみの一つです。すなわち、噛み合わせが悪くなると栄養状態が不良となり、生きる楽しみの一つがなくなってしまいます。
食事のたびに落ち込むなんて残念ですよね
年齢を重ねてもおいしくご飯を食べることができるよう、歯を残すことはもちろんですが、残っている歯の噛み合わせも気にしながら日常生活をおくっていただけると嬉しいです。何か不安なことがあれば、いつでもお声かけください。
しっかりと噛んで食べることは、長生きの秘訣の一つ
3.一流アスリートと噛み合わせ
一流アスリートは噛み合わせを調整してから大会に臨みます。
大きな力をかけたいときや踏ん張りたいとき、人間は無意識のうちに歯を噛みしめます。その噛みしめが良好でないと本来の力を発揮できません。一流アスリートとなると、0.01秒や0.01点というギリギリのところで常に上を目指していますので、練習や体調だけでなく噛み合わせまでも調整し、大会に臨みます。
私の母校にも、オリンピック出場前に大学病院へ来院して噛み合わせを調整、そして銀メダルを獲得したスケートの選手がいました。野球選手も、バッティングの飛距離を伸ばしたり、ピッチャーの投球速度を上げるために噛み合わせを調整します。
努力や才能で最大限まで自分を高めたその先として、噛み合わせを調整することにより更に能力を上げるということです。
4.咬合性外傷について
さて、皆さん。咬合性外傷って聞いたことありますか?名前からすると、咬合によって傷ができるという感じですが、どのようなものなのでしょうか。
実は、先ほどお話した噛み合わせがおかしくなることによって起こる病気なのです。
噛み合わせは、噛むときに上下左右の歯が同時にバランスよく歯が当たるのが通常です。しかしながら、どこかの歯だけが早く当たってしまうことがあります。それを歯科では「
早期接触」といいます。早期接触の状態になってしまうとどうなるのでしょうか。
その歯に大きな負担がかかることとなります。食事の際にどんどん負担がかかります。また、歯ぎしりがある方ですと睡眠中にも負担がかかることとなります。そうなると、負担に耐えられなくなった歯はやがて揺れ始めてきます。
揺れ始めると、激痛が走ることがあります。歯の痛みではなく、歯茎の奥底からの痛みです。そして、放置していると最後には抜けてしまうこともあります。
歯の揺れに伴い、歯の土台となる骨が溶け始めてやがて支える骨がなくなってしまうということです。
このような症状があるものを、「咬合性外傷」と呼びます。
噛んだ時に痛みがでるのが特徴です
咬合性外傷には、2種類が定義されています。
1次性咬合性外傷、2次性咬合性外傷と名前は同じような感じですが、原因が違います。
1次性咬合性外傷
これは、歯周病などに罹っていない健康な歯に対して通常では起こりえない強い力が歯にかかり続けることによって起こります。たとえば、噛み合わせが高すぎる、歯ぎしり、歯並びが悪いなどが原因となり、特定の歯に大きな力がかかり続けることにより歯を支える骨が耐えられなくなったときに生じます。
私たち歯科医師は、そうなった場合には負担がかかり続けた歯の噛み合わせを落とします。そして、その歯を噛ませないようにして休ませてあげるのです。そうすることにより、痛みが和らぎ落ち着いてきます。歯の揺れがおさまらなければ、隣の歯と歯科用接着剤にてくっつけることで一時的に固定させます。
健全な土台の歯に強い力がかかると起こります。
2次性咬合性外傷
歯周病などにより、歯がぐらぐらと揺れてしまったときにに生じます。揺れることにより歯の位置が変わってしまい、普段なら噛んだ時に当たらないのに当たるようになってしまいます。
弱っている歯の土台に対して、さらに負荷をかけてしまうこととなり、さらに病状が悪化してしまいます。そうなった場合には、グラグラしている歯を隣の歯と一次的に歯科用接着剤にて固定して、負荷がかからないようにします。
2次性咬合性外傷
弱った土台の歯は通常の力がかかってもグラグラしてきます
5.咬合性外傷の予防について
それでは、咬合性外傷にならないようにするためにはどうすればいいのでしょうか。
一つは歯周病予防です。定期的に歯科医院でのクリーニングを行うことにより歯周病を防ぐことができます。
また、歯ぎしりでの歯への負担を取り除くためにマウスガードをして就寝していただくことも大切です。
早期接触してしまった歯の噛み合わせを落とすこと、咬合調整をすることも重要です。
6.最後に
覚えておいてほしいことは
歯がグラグラしたら歯科医院を受診
定期健診で早期発見を!
噛み合わせは食事をおいしくする
どのような病気も早期発見早期治療が大切です。早期発見早期治療のためには、定期的な健診を受けていただくのが一番です。
なかもず松浦歯科・矯正歯科では、定期健診も随時受け付けております。気になった今こそが健診の受け時です。お気軽にお問い合わせください。