こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
気がつけば、もう11月。秋も深まって参りました。
2020年も残り少なくなってきました。今年は激動の一年であった方が多いと思います。
少しでも良い年だったと思えるように過ごしたいものですね。
さて、今回は口腔ケアについてお話をしたいと思います。
口腔ケアとは
最近、テレビなどのメディアで口腔ケアという言葉が出てくるようになりました。口腔ケアとは、文字通りお口の中をケアするということです。簡単に言うと、口腔内の衛生状態を良くする、すなわちお口の中をきれいにすると言うことです。
口の中が綺麗なのは良いことだと思いますが、なぜ今になって注目されているのでしょうか。
実は、口の中を綺麗にしていると、ある病気にかかりにくくなるのです。
日本人の死因の上位には肺炎というものがあります。昔は、肺炎で亡くなる人が多かったのですが、抗生物質の発達によって肺炎で死ぬ割合が減ってきました。しかし、最近また肺炎で亡くなる人の割合が増えてきたのです。それはどういうことなのでしょうか。
死因の上位は、悪性新生物（がん）、循環器疾患、脳疾患があります。がんについては 抗がん剤の発達によりがんで亡くなる人が減少傾向にあります。また、循環器疾患や脳疾患については、疾患への知識が普及したおかげで、致命的になる前に対応できるようになりました。死因の上位が減ってきたおかげで、肺炎の割合が高くなったのです。
肺炎にも色々とあります。昔は空気感染などにより肺炎になって亡くなっていましたが、現在は誤嚥性肺炎と呼ばれる肺炎が主流となっております。誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液などが食道でなく 期間に入ってしまうことによって起こってしまう肺炎です。食べ物や唾液にはたくさんの細菌が住んでいます。それが気管に入ってしまい肺炎を起こすのです。
では、どのようにすればいいのでしょうか。
・細菌の数を減らすようにする
・誤嚥しないようにする
これらのどちらかになります。
口腔内の細菌を減らす
細菌を減らすにはどうすればいいのでしょうか。お口の中に 抗菌薬をずっと入れておくわけにはいきません。
口腔内は湿度100％で細菌が繁殖しやすい環境です。特に口の中の汚れている部分は細菌にとって天国のような場所となります。立派なお家で住めて、いつでも美味しいご馳走があるという感じでしょうか。
ですので、細菌を減らすためには、しっかりと歯磨きをしてあげることが大切です。歯磨きが出来ないような状態の方であれば、スポンジブラシなどを使って汚れを取ってもらうことが大切です。また、入れ歯のお手入れも大切です。
高齢、脳血管疾患などにより自分で口腔ケアが出来ない方は、介護する人にお願いをしましょう。また、ケアマネージャーに相談していただき、訪問歯科診療をお願いしましょう。口腔内のスペシャリストである歯科医師、そして歯科衛生士が困っていらっしゃる皆さんの口腔ケアを担当させていただきます。
誤嚥しないようにするには
年齢を重ねてきますと、どうしても 筋力が衰えてきます。それは腕や足だけでなく、喉の筋肉も衰えてきます。ものを飲み込むのに必要な筋肉、気管に物が入らないようにする筋肉、喉にはたくさんの筋肉があります。それらが衰えることによって生じるのが『誤嚥』です。
手足の筋肉を鍛えるように、喉の筋肉も鍛えることができます。
また、食事の形態を変えることによって誤嚥を防ぐことができます。とろみのある物は誤嚥しにくい代表格です。いろんな方法がありますので、お尋ねください。
口腔ケアと手術
皆さんは健康でいたいと思って色んなことをされていることと思います。しかしながら、病気はいつやってくるかわかりません。そして、病気の治療で手術しなければならない場合、実は口腔ケアが注目されているのです。
私が以前勤務していた病院では、手術する前に医科の先生から口腔ケアのオーダー出ていました。口腔内の衛生状態を良くしてから手術に臨むということです。口腔ケアの研究が進み、口腔ケアをして手術に臨むと、しない人より数日退院が早くなるという結果が出ました。手術の傷の治りも早く、体力の回復も早いということが分かったのです。
入院して手術をする病院に『歯科口腔外科』がある場合は口腔ケアをお願いできますが、無い病院もたくさんあります。その場合は、手術をする前に街中の歯科医院で口腔ケアをすることが可能です。一度、主治医の先生にご相談ください。
昔は、歯科は虫歯を治すところでした。しかしながら、現代では医科歯科連携が進んでいます。歯科治療を行なうにも、何か持病があれば医科の先生から情報を得てからでないと出来ない場合もあります。
皆さんの健康は、口から始まります。是非、なかもず松浦歯科・矯正歯科にご相談ください。
