こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
今日は、唾液(つば)についてお話をしたいと思います。
若い頃って唾液がたくさん出ていた記憶はありませんか?高校生の頃に電車通学をしていたのですが、少し悪そうな高校生たちが線路に唾を吐いていたのを思い出しました。あの頃は、あれがカッコいいと思っていたんだろうと思います。ちなみに、僕は唾はゴックンと飲んでいました(笑)
今では、マナーも良くなり、こんな光景は見かけなくなりました。
歯科医師になるまでは、唾液の働きなんて考えたことはありませんでした。口が渇いたら気持ち悪いという程度でした。やがて歯科医師になり、唾液は本当に生きる上で重要なのだと思い知らされました。
唾液のでき方
唾液は、サラサラのものとネバネバのものがあります。
実は、唾液が作られる場所は1箇所だけではありません。唾液腺という唾液を作る器官があります。お口周りには三大唾液腺というのがあり、耳の前にある耳下腺、顎の下にある顎下腺、舌の下にある舌下腺の3つです。それ以外にも小唾液腺と呼ばれる唾液腺がたくさんあります。実は、唾液は血液をろ過して作られているんです。知っていましたか?
汗も涙も鼻水もおしっこも、血液がろ過されてできるんですよ。本当に、人体って不思議ですよね。
唾液の成分
さて、今回は唾液ということで、唾液にはいろんな成分が入っているんです。
唾液の成分についてご紹介します。
水分
言わずもがなですが、水ですね。
ムチン
これは唾液をネバネバにする成分です。ネバネバにすることによって噛み砕かれた食べ物を一つの塊にして、ゴックンと飲み込みやすくなります。これが無いと水分の無い食べ物、例えばパンとかは飲み込めません。
潤滑作用があり、会話時に舌や口が滑らかに動くようにする。
ラクトフェリン
抗菌物質です。細菌の中にある鉄分を取り上げることによって、細菌が生きていけなくなります。最近、ラクトフェリンが注目されており、色んな健康食品に含まれています。外から取らなくても、唾液の中に入っているんです。
リゾチーム
細菌を溶かしてしまう作用があり、殺菌作用がある。
ペルオキシダーゼ
細菌に必要なタンパク質を阻害する。細菌が生きていけなくなるようにする。
ヒスタチン
細菌や真菌(カビ)が生きていけないようにする。
βディフェンシン
細菌の細胞壁を壊す。殺菌作用がある。
sIgA
外からやってくる細菌やウイルスがくっつかないようにする。
アミラーゼ
食べ物に含まれる炭水化物を消化する。
重炭酸イオン
食事の時に酸性になった口腔内を中性に戻す。酸性がずっと続くと、歯は溶けてしまいますので、それを防ぐ役割もあります。
スタテリン
高プロリンタンパク質と呼ばれるものです。歯が溶けるのを防ぎます。
カルシウム、リン
初期虫歯であれば、再石灰化により元の白い歯に戻ります。その役割を果たすのがカルシウムとリンです。歯はカルシウムとリンと酸素と水素で出来ているのです。
他にも、食事の味をさせる物質を溶かしたり、口の中を洗ったりするなど、唾液には様々な物質があります。ですので、唾液がたくさん出ることはすごく重要で、歳を取っても美味しくご飯を食べるために非常に重要となります。
唾液が減少する病気
しかしながら、唾液は減少してしまうことがあります。
加齢によって唾液は減少してしまいますが、そのほかにも唾液の減少を症状とするような病気もあります。
最も気をつけないといけないのは、糖尿病です。糖尿病によって唾液の分泌が下がり、真夏でも無いのに常に喉が乾いてしまう症状があります。汗をかいて喉が乾く感覚とは違うそうです。他にも様々な病気の一つの症状として喉が乾くというのがありますので、ご不安な方は一度ご相談ください。
他にもシェーグレン症候群という病気があります。これは自己免疫疾患とよばれるもので、自分の唾液腺に対して自分自身の免疫機構が攻撃してしまうという病気です。50代以上の女性に良く見られます。
唾液腺マッサージ
唾液があまり出なくなってきた場合、病院へかかるのも大切ですが、唾液腺を刺激して胃あげることによって、唾液の分泌を促すことができます。
唾液を作るところは、先ほども述べましたが唾液腺です。特に三大唾液腺とよばれる耳下腺、顎下腺、舌下腺でたくさん作られています。その3カ所をマッサージによって刺激してあげることです。
・耳下腺:耳の前の部分
・顎下腺:顎の側面の下の部分
・舌下腺:顎の中心の下の部分
この3箇所を指を使ってマッサージしてあげることにより唾液が出てきます。
唾液が減少すると口の中が乾いてしまい、不快になってしまいます。喋りにくくなったり、ご飯を食べにくくなります。人工唾液などで補うことができます。気になる方はご相談ください。