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なかもず・中百舌鳥の歯科・歯医者

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歯科治療と全身との関係について知っていますか?

こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。

今日は、歯科治療と全身との関係についてお話をさせていただきます。

皆さん、歯科医師は歯を口の知識だけで歯科治療を行なっていると思っていませんか?たしかに、口腔内の知識が大半ではありますが、実は医科の知識も持っていまして、歯科と医科の知識を合わせまして治療を行っています。

歯科医師の医学の知識

歯科医師になるためには、大学歯学部へ進学し勉強する必要がありますが、歯学部では口や歯だけを勉強するわけではありません。

僕の母校では、医科についても勉強します。
・内科
・外科
・小児科
・耳鼻咽喉科
・皮膚科
・眼科

歯と隣接する器官についての勉強を行います。
また、内科や外科のように一般的な医科の勉強もします。

実際、医師国家試験の内容を見ていると、歯学部で勉強した内容のものも出題されます。「あれっ?僕でも解ける!」という問題も多く存在します。

また、麻酔や薬についても、全身疾患で用いる薬剤についても勉強し、歯科で使う薬との相互作用などについても学びます。

歯科と全身との重要性

今、歯科治療は見直されております。歯科は単に歯を治すのだけでなく、全身疾患の治療や予防の一躍を担う分野となっております。様々な全身疾患と歯科の関係性があります。ここでは一部ですがご紹介致します。

肺炎と歯科

日本人の死因で多いのは、悪性新生物(がん)や心疾患(心筋梗塞・狭心症等)です。しかし、意外に多いのは肺炎なのです。日本における死因第5位です。特に、60歳以上の高齢者においては多いのが特徴です。60歳から85歳までは死因第3位、85歳以上では、第2位か第3位と肺炎で亡くなる方は多いのです。

肺炎で亡くなる方の大半は誤嚥性肺炎と呼ばれる肺炎です。食べ物や唾液など、口腔内にあるものは食道から胃へと運ばれます。しかし、飲み込む力が弱まると誤ってずに気管へと入ってしまうことがあります。そうすると、唾液等に含まれる細菌によって肺で炎症が起こってしまいます。それが誤嚥性肺炎です。

胃カメラのようなファイバースコープを鼻から入れて、喉の状態を観察します。食事を飲み込む時の様子を見て、声帯がきちんと閉じているかどうかの確認をします。年齢を重ねてくると、喉の筋肉が弱くなってしまい、食事が喉を通る際に声帯がキチンと閉じないことがあります。そうすると、食べ物が誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎が起こってしまいます。通常ですと、むせてしまって気管に入った異物は外へ吐き出されますが、筋肉が弱ってしまうとむせる力もなくなり、そのまま肺へ入り込んでしまいます。そして、肺炎をおこしてしまうのです。

誤嚥性肺炎を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。それは、飲み込む力を鍛えること、そして食事の性状を変えることです。そこで、この分野である『摂食嚥下』について、歯科医師と言語聴覚士が活躍しています。歯科医師が今の飲み込む力や誤嚥について検査と診断を行い、言語聴覚士が誤嚥を防ぐための訓練を指導します。

私の母校の大学病院には摂食嚥下機能リハビリテーションセンターと呼ばれる専門の部署があり、そこのセンター長である蓜島浩之教授には大変お世話になりました。研修医時代には、ファイバースコープを実際に挿入させてもらい、摂食嚥下機能が低下している状態を診察させていただきました。また、施設への往診や在宅診療にも同行させていただき、摂食嚥下機能低下の様々な要因にも触れさせていただきました。

現在、日本は高齢化社会を過ぎ、超高齢社会に突入しました。今後、摂食・嚥下機能が低下した方は増加し、誤嚥性肺炎にかかる人はもっと増えると思います。より一層の対応を歯科医師に求められています。近年、この接触嚥下障害に対しての対策が講じられてきました。

歯科医師や言語聴覚士の活躍の場が広がり、病院や施設にて摂食嚥下機能の回復を図られています。その結果、肺炎は以前は死因第3位でしたが現在では第5位です。皆さんも、口腔内の衛生状態を良くして、元気に長生きするために一緒に頑張りましょう。

歯周病と脳疾患

歯周病は脳疾患の元となるというのを聞いたことはありますか?実は、関係があるのです。

歯周病とは、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに歯石が多くたまると歯周病菌がそこに住み着いて、骨を溶かしてしまう病気です。40代以上の8割の方が罹患しているという感染症です。

重症になると歯を支える骨がが無くなってしまい、歯がグラグラと揺れ始めてしまい、最終的には抜け落ちてしまいます。昔は、歯を喪失してしまう一番の原因は虫歯でしたが、虫歯予防の習慣が普及し歯が残っている人が増えたため、歯周病が広まってしまいました。
前にも伝えた通り、歯周病菌は歯周ポケットに住み着いています。そこにはたくさんの血管があるために、歯周病菌は血管の中に入り込み血流に乗ってしまいます。

普段ですと身体の免疫機構によってやっつけられるのですが、歯周病菌が多かったり免疫機能が低下してしまいますと、歯周病菌は心臓へと達します。心臓の中にある内膜という膜にくっつき、そこで炎症を起こします。それが、感染性心内膜炎と呼ばれる病気です。

やがて、心臓の内膜に膿瘍が生じ、それが剥がれてしまいます。剥がれた膿瘍は心臓から全身へと送られます。その際、脳に達すると脳膿瘍を生じます。簡単に言うと、細菌と膿の塊が脳へと送られるのです。脳膿瘍になると、生命の危機となる場合があります。

口腔ケアと手術

口腔ケアをキチンとしてから、医科の手術を行うと、入院期間が短くなるという研究結果が出まして、現在では様々な病院にて口腔ケアを行うようになりました。歯科口腔外科の無い病院ですと、まずはかかりつけの歯科医院にて口腔ケアをおこないまして入院手術をするという流れも出来つつあります。健康保険制度においても、周術期口腔管理というものが新設され、国が認めています。大きな病気を患ってしまった際には、口腔ケアを行うということを覚えておいてください。

糖尿病と歯周病

前回のブログでも書きましたが、糖尿病と歯周病には相互関係があります。糖尿病がひどくなると歯周病もひどくなり、歯周病が改善されると糖尿病も改善されるということがわかっています。糖尿病は、日本を代表する生活習慣病です。少しでも改善するためにも、歯周病予防を、すなわち口腔内を綺麗にしましょう。定期的に歯石を除去したりクリーニングすることが大切です。

歯周病とアルツハイマー

歯周病菌として代表的なPorphylomonas Gingivalisという細菌がアルツハイマーに侵された脳細胞に存在しているという研究結果が出ました。P.Gingivalisはジンジパインというタンパク質を分解する酵素を出すのですが、それもアルツハイマーに侵された細胞から発見されております。
アルツハイマーという病気は、脳細胞の変性によって起こる病気です。その変性に歯周病菌が関わっているのではないかと考えられています。
研究が進み、歯周病とアルツハイマーの関連性が明らかになる可能性があります。まだ明らかにはなってはいませんが、今のうちに歯周病予防に取り組んでおけば、明るい将来が見えてくるかもしれません。

高血圧と歯科治療

歯科治療では、痛みを伴うものがあります。また、歯科治療は見えないところを治療されるという特徴から、不安感が強くなることがあります。そのため、刺激や不安などによって一時的に血圧が上昇することがあります。高血圧症の方ですと普段の血圧が高いために、歯科治療を行うとさらに上昇することがあります。そのために、血圧が上がらないように様々な工夫を行います。あらかじめ局所麻酔をすることにより刺激を最小限にすることや、笑気麻酔をおこなったりします。

歯周病と妊娠

歯周病菌は、妊婦に早産を引き起こすといわれております。
まだ完全に解明はされていませんが、今では歯周病菌と母体との戦いによって生じる物質が低体重の状態での出産を促すのではと考えらえております。妊娠期では、お母さんはつわりなどでいつものように歯磨きをするのが困難になることが多くあります。そこで、歯周病菌がチャンスと思い、口腔環境を悪化させていくのです。

無理に歯磨きをするのは辛いと思います。お口の中の環境を守るため、プロフェッショナルである歯科医師・歯科衛生士にお任せください。通常ですと、健康保険ではお掃除はしょっちゅうできませんが、妊婦さんは月に1回のお掃除が可能です。いつでもご相談ください。

口腔内と全身疾患とは、密接な関係にあります。皆さんの健康を守るためにも、是非とも歯や口腔内のチェックを受けるようにしてください。

皆さんにお願いがあります。歯科治療を行う前には必ず問診表に記入いただいております。治療中の偶発症を防ぐためにも、病気や服薬状況をしっかりとご記入いただけますよう、お願いいたします。

なかもず松浦歯科・矯正歯科では、歯科の定期検診を行なっております。虫歯や歯周病のチェックはもちろんのこと、お口の中の粘膜や舌もチェック致します。お気軽にご相談下さい。

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