こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
歯学部での勉強について、今回で最後になります。高学年では何を勉強しているのかをお話ししたいと思います。
【臨床実習前】
・歯科系CBT:歯科医学の知識について、全国共用試験を行います。
・歯科系OSCE:歯科治療への技能試験を行います。
【臨床実習】
・保存科:虫歯治療や歯周病治療について
・補綴科:被せ物やブリッジ、入れ歯について
・口腔外科:抜歯、顎関節症、消炎、腫瘍切除など
・歯科麻酔科:局所麻酔、全身麻酔、鎮静法など
・歯科放射線科:レントゲン、CT、MRI、超音波など
・歯科矯正科:歯列矯正について
・小児歯科:15歳までの歯科治療について
・総合診療室:初診での問診、診断、治療計画
・障害者歯科:障害者、有病者への対応
・摂食嚥下科:食事の飲み込みについて
【最終学年】
・総合講義:総復習と歯科医師国家試験対策の勉強
臨床実習前
第4学年から第5学年にかけて、習った知識や技能についての試験があります。プレ国家試験のようなもので、文部科学省が行います。
第4学年までの定期試験や進級試験全てに合格すると、臨床実習を行うためにCBTとOSCEという試験を受験します。
CBTとは、Computer Based Testingの略称で、いわゆる知識確認のための試験です。パソコンに問題文と画像が表示され、どんどんと問題を解いていきます。全部で360問あります。一定の得点を取ることができないと一発で留年となります。合格点は各大学によって様々ですが、僕の通っていた大学はかなり厳しいラインが設定されています。
OSCEとは、Objective Structured Clinical Examinationの略称で、 実際に患者さんの前に立っても大丈夫なように技能態度を習得しているかを確認する実技試験です。模擬患者さんや模型に対して診療行為を行います。正しい順序で正しく診療出来ているかを試験官がチェックします。例えば、問診、血圧測定、応急救護、虫歯治療、歯のクリーニング、型取り、抜歯など、普段の歯科治療でよく行われる分野が出題されます。問診は必須となっています。
CBTとOSCEは共に、他大学の先生方がチェックする試験となり公正性が担保されています。
すなわち、4年生までの勉強をしっかりとしているのか、たくさんある実習に真面目に取り組んで実習内容を理解しているのかということをチェックするわけです。
臨床実習では、実際の患者さんの前に立って、患者さんに触れなければなりません。ですので、知識のない人や技能が出来ない人は臨床実習には参加できません。
歯科系CBT試験
歯学系OSCE試験
臨床実習
CBTとOSCE、2つの試験を突破した人だけが臨床実習に進むことができます。歯学部にはどの大学にも附属病院があり、指導医のもと実際の患者さんに触れて治療をします。まずは指導医のアシスタントから始まり、実際に治療をします。以前は、見学型実習でしたが、それでは意味がないということで実践型に変わりました。
問診、虫歯の治療、歯周病の治療、入れ歯の設計、レントゲン撮影、局所麻酔、訪問診療など、さまざまな事を指導医の元で行います。
最近の歯科医師国家試験は、臨床実習でしっかりと勉強しておかないと解けないような問題が多く出題されています。ですので、ここで沢山の患者さんと触れ合うことが大切になります。
手技の難しいようなこと、治療期間の長い治療は見学のみとなります。基本的に身につけておかなければならないような問診、レントゲン撮影、局所麻酔、虫歯治療などは学生のうちから行います。当然、横には指導医が付いてくれています。
局所麻酔実習
患者さんに麻酔をする前に、同級生同士で練習します
なぜか、僕の写真がずっと大学案内に残ってます笑
ちなみに、相手の同級生は日本と台湾とで歯科医師免許を取った仲良しです
松本歯科大学病院
歯科だけでなく、内科や眼科、耳鼻科、整形外科など医科の診療科も充実しています
最終学年
歯学部は6年制となっています。最後の第6学年は国家試験を突破するための勉強を1年かけて行います。低学年から臨床実習まで学んだことの集大成となります。朝9時から授業が始まり、17時半に授業が終わってからも自習などで0時まで学校の自習室にこもる毎日を送ることとなります。その日に勉強したことへのデイリーテスト、1週間習ったことのウィークリーテスト、そして定期試験が4回、最後に6年間の集大成である卒業試験を全てパスすれば晴れて卒業となります。
僕は国家試験対策委員会のメンバーとして、全員の卒業と国家試験一発合格を目標として1年間頑張りました。勉強できる学生が、勉強に不安な同級生に授業していました。僕は社会歯科学や公衆衛生学といった、どちらかといえば歯科の中でも文系の科目が得意でしたので、皆んなに授業をしておりました。ここでは、前職の経験が本当に役立ちました。
お陰さまで留年することもなく、ストレートに卒業できて国家試験にも一発で合格することができました。
国家試験対策委員会主催の勉強会
松本歯科大学の卒業式
歯科医師国家試験
毎年1月末から2月初めの土日、2日間にわたって 厚生労働省管轄の歯科医師国家試験が行われます。必修という当然知っておかなければならない分野、基礎歯科医学、臨床歯科医学などから出題されます。
また、一般教養として英語や計算問題なども出題されます。僕の受験回では、地雷問題といいまして、ある特定の選択肢を回答した場合には、得点が高くても自動的に不合格となる問題もありました。受験生は、皆ヒヤヒヤしながら解いていたことと思います。歯科医師国家試験の合格率は約65%。3人に2人しか合格できない、医療系資格のなかではかなり難関の国家試験です。
ちなみに、医師国家試験や看護師国家試験の合格率は約90%です。
合格発表は試験の1ヶ月半後になります。その間、ドキドキの毎日を過ごす必要があり、怖かった記憶があります。インターネットで番号がズラーっと出るのですが、自分の番号を見つけた時は、大学受験に合格した時以上の嬉しさがありました。
この試験に合格して、ようやく歯科医師となれるわけです。しかしながら、すぐに診療をするのは難しいので、研修医制度があります。頭の中には知識はありますが、知識と技術は別です。
各歯科大学附属病院や各医学部附属病院歯科口腔外科、市中病院歯科口腔外科、一般開業医など研修医認定施設で、臨床研修指導医の元で患者さんの診療にあたります。1年以上の研修が義務となっております。ここで、基本的な治療をマスターしていきます。
研修医仲間と共に
研修医時代
非常に楽しくて有意義でした
私の大学は在学中に毎週試験があり、定期試験に進級試験、CBTとOSCE、そして卒業試験と試験漬けの6年間でした。歯科医師になるには本当に大変だった記憶があります。しかしながら、なりたいと思っていた職業でしたので、大変でしたがそこまで苦では無かったのは間違いないです。この大切な経験を糧に、全ての患者さんへの治療に役立てていきたいと思います。
歯科医師に興味のある方は、ぜひお声を掛けてください。いつでもお話しします。