こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
新型コロナウイルスの蔓延により、今の日本は大変なことになっております。
この苦境を乗り越えるのは、新薬開発や検査などはもちろんですが、ウイルスの解明が進んでいない現在としては、皆さんひとりひとりの力にかかっているのです。
緊急事態宣言中の不要不急の外出を控える、これだけでウイルスの拡散を防ぐことが可能です。
あともう少しです。一緒に頑張りましょう。
さて、ここ最近のニュース番組等の報道にて、この時期の歯科治療は危険であるという話がたくさんされております。
大切なことが報道されておらず、非常に残念な思いでテレビを見ております。
患者さんでなく、歯科医療従事者が危険だということなのです。
しかしながら、私たちは普段から危険であることは承知の上です。
ですので、日頃から感染予防対策をしっかりと講じております。
そこで、当院での感染予防対策について、改めて説明をさせていただきます。
スタンダードプリコーション
医療の世界では常識となっておりますこの言葉ですが、日本語に訳すと「標準予防策」といいます。すべての患者さんは感染症における感染源となっているという考えに基づいて、感染防護を徹底するということです。
誰が感染源なのか、見ただけではわかりませんので、すべての人が感染要因を持っているという前提に立つということです。
歯科におけるスタンダードプリコーションは、大きく4つのことがあります。
1)手指衛生
私たちの手指には、びっくりするくらい多くの細菌がいます。そして、唾液の中にも手指を上回る細菌がいます。また歯垢にはもっとたくさんの細菌がいます。歯垢の中にはどれだけの細菌がいるか、皆さんはご存知ですか?
歯垢1gの中に最近は10億から1兆個いるとも言われています。恐ろしい話ですねぇ。
私たち歯科医療従事者はその細菌の塊と闘っているというわけです。
私たち医療従事者の手指にいる細菌が、皆さんの口腔内へ移らないよう、グローブ着用はもちろんですが、手洗いを徹底しています。
手洗いは、水で洗うイメージだと思いますが、それだけではありません。石鹸を用いる水洗いはもちろん、擦式アルコールによる消毒も含まれます。
石鹸と水による手洗いは汚れを落とすこと、そしてアルコールにて消毒を行います。
2)個人防護具(PPE)
患者さんに感染させない、医療従事者が感染しないことを目的として使われます。
①グローブ
②マスク
③ゴーグル
④フェイスシールド
グローブは患者さん毎に取り換えて使用します。直接口腔内に触れますので、当然です。
マスクについては、現在は入手困難です。それは皆さんも同じことでしょう。ですので、消毒しながら使い回しているのが現状です。
ゴーグルやフェイスシールドは、目にエアロゾルが入らないように装着します。
口と鼻はマスクで覆われていますので防護できますが、目は覆い被せません。ですので、透明なプラスチック素材で作られたゴーグルを装着し、さらにフェイスシールドで水しぶきから顔全体を守るようにします。
ちなみに、僕のフェイスシールドは自作です。自分でも作れるんですよ。自分のゴーグルやヘッドライトに合わせて作っています。
3)診療器材の取り扱い
器材の取り扱いについては、使用目的や部位など、感染の危険性に応じて3つのクラスに分類されます。
①クリティカル
皮膚や粘膜を通り越して、その下の部分に接触する器具や材料は滅菌が必要です。
虫歯を削るタービン、歯石を取り除く超音波スケーラーのチップ、抜歯するときに用いる鉗子など、歯を削ったり、血液にさらされたりする器具については、オートクレーブという装置を用いて、完全にすべての微生物を死滅させる『滅菌』を行います。
②セミクリティカル
傷の無い正常な粘膜に接触する器具には、高水準消毒薬が必要です。
水や空気がでる3wayシリンジ、プライヤー(ペンチ)などは、高水準消毒薬にて消毒することが決められております。
③ノンクリティカル
正常な皮膚や粘膜に接触しない部分は、洗浄や乾燥だけで構いません。
要は、口の中に入れないけど診療で使うような道具です。それらは洗って乾燥するだけでいいのです。例えば、口の開き具合を調べる開口計、手鏡などです。
私たちは、それぞれの器具をすべて仕分けしまして、滅菌、消毒、洗浄と行っております。
4)環境整備
診療室で、高い頻度で接触する場所は、パソコン、キーボード、電話、ドアノブなどです。
スタッフや患者さんの動線を定期的に清拭します。
また、診療室の床に血液が飛散した場合、水拭きをした後に高水準消毒薬を用いて清拭します。
私たちなかもず松浦歯科・矯正歯科では、スタンダードプリコーションに基づく感染予防対策を日常から実施しております。
コロナウイルスの感染経路
コロナウイルスは未だ解明されていないことがたくさんあります。したがって、現在は手探りの状態です。そんな中で、現在注目されているのは『飛沫感染』です。
飛沫感染とは、咳やくしゃみなどでウイルスが唾液などでくるまれた状態で人から人へと伝染していく感染をいいます。
歯科医院では、大量の水を治療に用います。患者さんの口腔内にいるウイルスが治療で用いる水にくるまれて、空気中へ飛び出します。その小さな水滴のことをエアロゾルといいます。
エアロゾルは、ふわふわと空気中で浮かぶことができ、最大2メートルほど飛ぶことができます。ですので、スーパーマーケットやコンビニのレジでは、前の客と2メートル以上の間隔をあけるように、床に目印がついています。しかし咳やくしゃみをすると、飛ぶ距離は格段に大きくなります。
話を戻しまして、歯科医院では大量のエアロゾルが発生します。それによって、新型コロナウイルスの感染リスクが高まると、テレビのニュースでよく伝えられています。確かに、エアロゾル対策をしていなければ、感染リスクは高まります。
また、接触感染も疑われております。患者さんやスタッフが触るところに新型コロナウイルスが付着している可能性があり、それらが触ったところを介して伝染していく可能性がございます。その際、触った手で目鼻口を触ることによって体内に侵入し感染する可能性がございます。
そこで、なかもず松浦歯科・矯正歯科では、飛沫感染対策と接触感染対策として、以下のことを実施しております。
なかもず松浦歯科・矯正歯科でのコロナ対策
①口腔外バキュームの使用
なかもず松浦歯科・矯正歯科では、タービンを使う診療を行う場合、口腔外バキュームと呼ばれる機械を用います。口腔内の水を吸う口腔内バキュームだけでなく、患者さんの口の近くに掃除機の吸い口のようなものを設置し、エアロゾルをすべて吸い込みます。吸い込んだものは、HEPAフィルターを通して、有害なもの(細菌、ウイルス、切削片等)を除去して排気する仕組みとなっております。
②個室での治療
歯を削るタービンを使う治療では専用のチェアを準備しております。個室となっており、他の部屋にエアロゾルが飛ばないようにしています。
③換気の徹底
なかもず松浦歯科・矯正歯科では、すべての窓を開けております。入り口のドアも開放しており、常に風通しを良くして換気をしております。常に風が通りますので安心です。
④PPEの徹底
治療の際、マスクやグローブの着用はもちろんですが、防護服、キャップ、フェイスガード等、感染対策をしております。医療従事者を守ることは、患者さんを守ることにつながります。
診療着については、午前と午後で着替えたり、滅菌できるものは滅菌しております。
⑤予約の調整
待合室が混雑しないように、同じ時間帯にたくさんの予約が入らないようにしております。それにより、患者さんにはご迷惑をお掛け致しております。ご理解のほど、お願い申し上げます。
⑥待合室の座席間隔
待合室にございますソファーは、隣同士に座らないよう、間隔を空けて座るように調整しております。
⑦待合室の本とおもちゃの撤去
雑誌やおもちゃにつきましては、接触による感染を防ぐために撤去しております。
⑧スタンダードプリコーションの再確認
上記で話しましたスタンダードプリコーションにつきまして、スタッフに再度周知徹底をしております。普段から行なっております感染予防対策につきまして、改めて確認しまして見直しております。感染予防対策の徹底を行なっております。
上記の対策をとっておりますので、ご安心ください。
ご不安、ご不明な点がございましたら、いつでもご説明いたしますので、遠慮なくお申し出ください。
さて、余談ではございますが。
日本では、医療資源が本当に不足しております。マスクだけでなく、様々な医療物資が不足しており、注文できない状態が続いております。新型コロナウイルス感染症と直接向き合っている方々へ優先となっております。これは至極当然のことであります。ですので、クリニックには、なかなか回ってきません。
その事を台湾に住む私の友人に話したところ、手術用ガウンと手術用帽子を送ってくれました。これは使い捨てでなく、洗濯はもちろんのこと、治療器具と同様に滅菌できる代物です。これで、また一つ感染予防対策が強固なものとなりました。
この場をお借りしまして、台湾の屏東市在住のDr.Chris Chen先生に感謝申し上げます。
台湾は、新型コロナウイルス感染症のコントロールが良好とのことで、感染した患者さんは本当に少ないとのことです。マスクも市民へ行き渡っているとのことです。日本も見習わなければならないと思います。
ゴールデンウィークの真っ只中ですが、今を乗り越えることが大切です。良い天気ですが、来年もゴールデンウィークはやって来ます。
Stay Home!
自宅で工夫しながら楽しい時間を過ごしましょう!