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なかもず・中百舌鳥の歯科・歯医者

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法医学と法歯学の発展

こんにちは、なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。

皆さんは、テレビドラマを観ますか?

ドラマで人気なのは、恋愛ドラマ、刑事ドラマ、そして医療ドラマです。医療ドラマは様々なテーマがあります。心臓血管外科、脳神経外科、ER(救急救命科)、ドクターヘリなど、命に関わる診療科をテーマにしたものが多くあります。最近では放射線技師、薬剤師、看護師など医師以外の医療従事者(コメディカル)をテーマにしたものが増えてきました。

残念ながら歯科をテーマにしたドラマは見かけません。歯科の場合は命に関わる疾患が少ないからかもしれません。

それにしても、最近よく見かけるのは、法医学です。「アンナチュラル」「監察医朝顔」「サイン」「法医学教室の事件ファイル」などがありましたね。刑事ドラマになりますが、「科捜研の女」も。沢口靖子さんは堺市の泉北ニュータウン出身なので、ついつい親近感が湧いてしまいます。

さて、今回は法医学と法歯学についてお話をしたいと思います。

法医学とは

法医学とは、医学に関係している法律の話ではありません。亡くなってしまった方の死因を究明するのが法医学です。
よく刑事ドラマで死体を発見した時に「解剖にまわしましょう」という言葉を耳にします。その解剖をする人が法医学者なのです。法医学者は、全て医師なのです。

ご遺体の身体にある傷や兆候、そして解剖を行い、身体の内部の状態を観察します。それで、死因を究明して、殺人なのか病死なのかを判断します。

例えば、解剖をして肺に水が溜まっていたとします。亡くなった場所が水のある場所であれば事故死や病死の可能性があると思いますが、水の無いような場所で発見された場合は、事件に巻き込まれた可能性が高くなるという訳です。
また、水の成分を調べて、亡くなった場所にあった水と成分が一致しなければ、亡くなった場所は別のところとなり、事件に巻き込まれた可能性が高くなります。


死亡推定時刻を導き出したり、DNAによる親子鑑定など、裁判における事実認定のための証拠を医学的見地から確定することも行なっております。

法医学の解剖の種類

法医学の解剖には、司法解剖と行政解剖の二つがあります。
事件性が疑われる時、死因を究明するために行うのが司法解剖です。
事件性がないが、死因を究明するために行うのが行政解剖です。
最近では、警察署の判断で行う解剖もあります。

その他に法医学以外の分野においては、病気で亡くなった方の原因を究明する病理解剖、医学部や歯学部の解剖学実習で行う正常解剖などがあります。

解剖は、大半は大学医学部の解剖学教室で行われます。ただし、大都市では解剖を行う専門機関があります。東京23区、大阪市、神戸市、名古屋市、横浜市にあります。その中で生じた異常死について、大学医学部解剖学教室だけでなく専門の解剖機関が解剖を行います。大阪市で発見されれば専門機関で行政解剖されますが、堺市で発見された場合は、大学医学部解剖学教室にて解剖されるという訳です。

法歯学とは

法医学は、医師が携わりますが、それとは別に法歯学というものがあります。これには、私たち歯科医師が携わります。
不幸にも亡くなってしまった方の身元が分からないとき、身元を究明するのが歯科医師の行う法歯学となります。
一般的には、大半の方が歯科治療を経験したことがあると思います。歯科治療では、虫歯を削った場所に詰め物をしたり被せ物をしたりと修復治療をおこなっています。それらは、個人個人で違う形や材料のもので行いますので、その特徴から身元を究明します。

チェックするのは、虫歯の治療痕、歯の抜けた場所、入れ歯の形、歯並びなどです。これらは、まったく同じ人はいませんので、個人の識別に重要となります。

歯科医院には、治療の際のカルテやレントゲン写真が記録されております。それらを照合して、一致すれば身元が分かるというわけです。

この患者さんですと、左右の上下奥歯に銀の詰め物があります。また、左下の奥から3つ目には銀の被せ物があります。上の前歯の間にプラスチックの詰め物があります。それらが、レントゲン写真から分かりますので、それらが一致した場合に身元が判明するというわけです。しかしながら、撮影した時期と照会時期とがかなりの時間が経っている場合があります。その間に歯科治療を行なっている場合があります。それらも踏まえて、法歯学の先生は判断します。

その他に、年齢を推定することも可能です。
乳歯が残っている場合は、永久歯への交換程度によって年齢が推定できます。そして、歯の擦り減り具合によっても年齢を推定できます。

歯の状況によっては、職業を推測することも可能です。

身元不明者の多くは

法歯学が活躍するのは、大規模災害の場合です。最近ですと、東日本大震災や阪神淡路大震災などの大地震、東南アジアで起こった大津波などです。

2011年3月11日、東北地方の太平洋側を震源とする東日本大震災が起こりました。内陸部を震源としていれば、倒壊などの被害で亡くなることが多かったと思います。

その場合は、ご自宅や勤務先などのご自身に関連のある場所で亡くなった人が多くなりますので、身元は容易に判明します。しかしながら、東日本大震災では震源が海洋であったので不幸にも大津波が発生してしまい流されてしまったせいで亡くなった方が多くいました。ですので、亡くなった方とはゆかりのない場所で発見されてしまう事が多く、身元不明となってしまった方がたくさんいらっしゃったのです。

そこで、歯科医師に要請がありました。身元究明のために法歯学の力を貸してもらえないかということでした。各都道府県の歯科医師会、全国の大学歯学部や歯科大学に要請があり、たくさんの歯科医師が身元究明のために頑張りました。

法歯学の発展

死因究明などを担う法医学分野は、昔からありました。どこの大学医学部にも法医学教室があります。しかしながら、法歯学につきましては、どこの大学歯学部にあるというわけではありません。

どのような分野も、何か大きな出来事があってから発展していきます。法歯学についても例外ではありませんでした。
日本の法歯学が注目された大きな出来事がありました。1985年、今から約25年前に起こった大事故「日本航空123便墜落事故」です。東京羽田発大阪伊丹行きのジャンボジェット機が群馬県の山中で墜落した事故です。歌手の坂本九さんが搭乗していて亡くなったというのは記憶にある方も多いと思います。

乗客乗員524名、死者520名、生存者4名という世界の航空機事故においても類を見ない悲惨な事故でした。そして、520名の方が亡くなったのですが、墜落事故でしたので大きな衝撃によって亡くなられた方は1箇所に集まっていたわけでなく、様々な場所から発見されました。

当時はDNA鑑定は現在ほど精度は高くなかったため、身元判明の手がかりとして歯科医師による歯型鑑定が行われました。それから、法歯学が注目されるようになり発展して参りました。

大学では

歯学部の学生時代に法歯学の講義はありましたが、他の科目に比べると講義時間や実習時間は非常に短かったです。しかしながら、個人識別の方法はきちんと学びました。非常に濃密な時間であったと記憶しております。

そして、法歯学分野においても歯科医師国家試験に出題されますので、歯科医師は基本的な法歯学の知識は有しております。

災害大国日本

日本は災害大国と言われております。私達は、マグマに浮かんでいる大きな岩盤の上で住んでいます。その岩盤は常に動いております。動いてぶつかり、盛り上がったところが日本列島です。岩盤の隙間ですので、マグマが噴出する火山や動くたびに地震や津波が生じます。すなわち、さまざまなリスクを抱えながら生活しているのです。備えあれば憂いなしです。日頃からさまざまな対策が必要です。皆さんも、耐震や非常袋などの対策を講じるようにしましょう。また、離れ離れになってしまった時のために、落ち合う場所を予め決めておく事も大切です。非常用連絡先も決めておくと良いでしょう。

最後に、歯科医師としてお伝えしたいことがあります。入れ歯を使っている方は、古い入れ歯は捨てずに、防災袋に保管しておきましょう。いざと言う時には役に立ちます。完璧には合わないかもしれませんが、入れ歯無しでは噛む事もままならないですので、無いよりはマシということなのです。覚えておいて下さい。
また、避難所生活では水不足となることが多く、歯を磨く事も容易ではありません。また、食料はお菓子やおにぎり、菓子パンが配給されることが多いので、虫歯や歯肉炎になる方が多いのです。防災袋には歯磨きセット一式を入れておいてください。

普段飲まれているお薬があるならば、何を飲んでいるかが分かるように薬のメモをいれておきましょう。薬局で薬を処方されるときに薬の一覧の紙を必ずもらいますので、定期的に防災袋に入れておくと良いでしょう。被災地には全国の薬剤師も多く駆けつけてくれます。すぐに薬を手に入れることができるようにメモは大切です。薬は、名前だけでなく、用量や用法も重要です。

医師や歯科医師の仕事は、患者さんの治療をするだけではありません。今回のような法医学・法歯学に携わる人、新薬や治療法を研究する人、医学生・歯学生などを育てる教育に携わる人、様々な人がいますが、全て医師や歯科医師なのです。そう考えると、医師・歯科医師と一括りに言っても多種多様なのです。

最後に

現在放映中のドラマ「監察医・朝顔」にて登場する解剖学教室のメンバーですが、藤堂雅史(板尾創路)の奥様、藤堂絵美(平岩紙)は歯科医師なんです。法歯学者として活躍しております。歯科医師がドラマで登場すると、少し嬉しくなってしまいます。これは、職業病でしょうか(笑)

最近のドラマでは、榮倉奈々さんが歯科医師役としてドラマに出ていたのですが、その時の名札が、なかもず松浦歯科・矯正歯科で使われているものと同じなのです。


同じ名札でも、つけている人が違いすぎますが(笑)

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