こんにちは。歯科医師の宇辰です。
今回は、お口の病気で一番多い虫歯についてのおはなしです。
そもそもなぜ虫歯ができてしまうのか、効果的な予防法はないのか…
知っているようで知らない虫歯についての知識を少しでもお伝えできればと思います。
虫歯はなぜできる?
虫歯の原因の一つが“ 砂糖”であることは多くの方が知っていると思います。
では、ここで質問です。
野生動物に虫歯はあるでしょうか??
答えはノーです。
野生動物には基本的には虫歯はありません。その理由は食べ物にあります。野生動物は、食べ物を生のまま食べています。多くの食べ物はかみごたえがあり、せんい性のものを多くふくむため、よくかまなければなりません。
その結果、それが歯みがきと同じ効果を生んでいるのです。
また果物の中には果糖と呼ばれる糖分は含まれますが、多くの食べ物には基本的には虫歯の原因である砂糖(ショ糖)は含まれていません。
では人間はどうでしょう。
文明が進歩するとともに食材に火をとおしてやわらかくして食べるようになり、また砂糖を発明しそれが世界に広まったことで世界中に虫歯が大発生したといわれています。
最近では人間の捨てたゴミをあさって食べる野良猫や、人間が食べるものと同じものを与えられるペットの犬や猫、また食べ物がなくて山を下り、民家のゴミをあさって食べる熊にも虫歯があるといわれています。
では具体的に虫歯はどうやってできるのでしょうか?
そのメカニズムを説明します。
甘いのもの、とくに砂糖をとりすぎると虫歯になるといわれていますが、ただ砂糖をとるだけでは虫歯はできません。お口の中の細菌のはたらきによって虫歯ができるのです。
その細菌はミュータンス連鎖球菌と呼ばれ、砂糖を分解して不溶性グルカンという物質を作ります。
この不溶性グルカンは歯の表面に強固にくっついてネバネバしたプラークを作ります。プラークとは歯垢のことです。
よくプラークをのことを食べかすだと思っている方がいますが、
それは大きなまちがいです。
プラークは細菌のかたまりで、その細菌数は1㎎中におよそ10億といわれ、虫歯や歯周病の原因になる細菌がひしめき合っているのです。
プラークの中の細菌は砂糖を中心とする炭水化物を分解して酸をだします。この酸が歯にくっついたプラーク中に長時間滞在することにより歯の表面を溶かし、さらには歯に穴を開け、“虫歯”を作るのです。
では虫歯にならないためにはどうしたらいいのでしょう?
実は、虫歯の予防法は年代によって変わってくるのですが…
それはまた次回お話します。