こんにちは,なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
4月も中旬となり,桜が散ってしまいましたね。
僕の母校のある長野県では,今がソメイヨシノの咲き頃だそうです。
恩師のFacebookで写真が載っていました。
研修医を終えてから長野には行っていません。
久しぶりに長野に行きたいと思いますが,コロナ禍もありますのでなかなか行きづらいですね。
早く,昔のように自由に往来が可能となるようになってほしいものです。
便利な世の中ですよね
最近,よく思うんです。
「便利な世の中になったなぁ」
出かけるにも,買い物にも,なんでもスマホがあれば便利になります。
電車で出かけるときは,スマホで時刻を調べる。
買い物は,通販でポチッとするだけで家まで届く。
車で出かけるときには,ナビで行き先設定すると迷わずに行けるし,到着予想時刻もわかります。
暇なときは,スマホでネットやゲーム,音楽を楽しむことができる。
本当に便利になりましたね。
なぜ,こんなに便利になったのか。
機械が発達したというよりも,情報通信技術が進化したことが大きいと思います。
すなわち,デジタル化です。
世の中のさまざまなものがデジタル化されて,便利になりました。
身近なものですと,スマホですね。
スマホがあれば,大抵のことができますね。
これら全て,「DX」と呼ばれるものなのです。
この「DX」という2文字,ニュースや新聞,テレビCMなどでよく聴く言葉です。
意味はわかりますか?
DXの正式名称は,Digital Transformations です。
Transformationsの中にXという文字は入っていないのですが,なぜが「DX」です。
日本語に訳すと,「IT(情報技術)化によって,人々の生活が変化してより良くなっていくこと」という事だそうです。
実は,これは産業革命なのです。
社会科の授業で習いましたよね。
第1次産業革命は水力と蒸気機関による大量生産
第2次産業革命は電気をエネルギーとした大量生産
第3次産業革命はコンピューターを用いたオートメーション化
第4次産業革命はデジタル化,AIを使用した産業構造の変化です。
現在は,第4次産業革命の真っ只中です。
その中に,DXがあります。
そして,私たち歯科医療の世界にもデジタル化の波が押し寄せています。
デジタルデンティストリー
歯科医療にもデジタル化の波が押し寄せています。
私たちは,そのことをデジタルデンティストリーと呼んでおります。
デンティストリーとは,「歯科」という意味です。
歯科の世界にはどのようなデジタル技術が取り入れられているのか,ご紹介致します。
・電子カルテ
カルテは紙が基本でしたが、今では電子カルテがかなり普及しております。
それによって,さまざまなメリットが生じました。
まずは収納場所です。紙カルテだと収納スペースの確保が必要となります。何十万人もの患者さんがいるような大病院ですと,そのカルテ保存スペースを確保するだけで一苦労ですし,その中からカルテを探し出さなければならないにも苦労です。
電子カルテですと,パソコンがあれば大丈夫です。患者番号や名前で検索するとカルテが表示されます。
次に,災害に強いということです。
電子カルテデータは院内サーバーにて保存されています。しかしそれだけでなく,院外サーバーにもバックアップとして保存する事が可能です。
東日本大震災では,津波によりカルテの損壊が問題になりました。歯科のカルテが損壊していなければ,カルテを基に身元判明がスムーズに行えたことでしょう。
そこで,別の場所でバックアップを取ることにより,カルテの損失を防ぐことが可能となりました。データ保存のインターネット回線には,VPN回線を利用し,高いセキュリティーを構築致しております。
真正性,見読性,保存性の三原則があります。
・レセプトコンピューター
診療にかかる費用の計算は,アナログの時代では紙に点数を書いて計算しておりました。ですので,計算に時間がかかりまして患者さんをお待たせすることが多々ありました。また,計算は人間が行いますので,ヒューマンエラーが発生してしまうこともしばしば。
現在では,電子カルテと連動してコンピューターに入力することによって,自動的に計算されるようになりました。
・デジタル予約システム
患者さんの診療予約は,予約台帳と呼ばれるノートに鉛筆で記入しておりました。ですので,予約は基本的には窓口か電話にて行っておりました。
現在は,予約システムは電子化され,コンピューターの画面にわかりやすく表示されております。
デジタル化のおかげで,重複予約等の予約ミスがなくなりました。
また,予約は24時間インターネット上で行うことが可能となりました。
・デジタルX線写真撮影
フィルムに現像するアナログ撮影と違い,デジタル撮影ですと現像が不要となりますので,即時にコンピューター画面上で撮影画像を見ることができます。
また,アナログ撮影と比べて放射線の被曝量が格段に低くなりました。
・iTero(光学印象)
歯型を取るには,印象材というどろっとしたものをお口の中に入れて固まるまで待ちます。そして,固まったら石膏を流し込んで固まるのを待ちます。固まったものが歯形になります。これが今までの型取りでした。
それが,光学印象となり,歯形を写真撮影にて撮ることが可能となりました。
口の中にペン型のカメラを入れて撮影します。それによって,歯型を採ることが可能となりました。
それによって,さまざまなメリットが生じました。
・患者さんの歯と歯型との誤差がない
・歯型の変形がない
・即時に歯科技工所へ送れる
・矯正のシミュレーションができる
・虫歯を見つけることができる
特にメリットの大きいものは,矯正のシミュレーションができることです。
マウスピース矯正のインビザラインでは,iTeroという機械で歯型を採ると,矯正した際にどのような歯並びになるかというシミュレーションを立てることができますので,患者さんにとってもイメージしやすくなりました。
歯の移動の様子が分かります
また,レントゲン撮影をできないような患者さん,例えば妊娠されている方には,iTeroの赤外線デジタル技術によって,歯間部の虫歯を見つけることができます。
目視でわからない虫歯を見つけられます
・3Dプリンタ
光学印象で採った歯型ですが,基本的にはコンピューター上に歯型ができるのですが,実際の歯型を作る事が可能です。
それに必要なのが,3Dプリンタです。
実際に歯型を作ると,イメージが湧きやすいですし,マウスピースを歯型から作る事が可能になります。
・デジタルCT撮影
骨や歯の中にある病変については,レントゲン撮影をします。ただし,レントゲン撮影は2次元での表現となり,立体的に映し出すことが困難でした。
そこで登場したのが,デジタルCBCTと呼ばれる歯科専用のCTです。
皆さんは,CTといえばドーナツの輪っかの中を潜って撮影するイメージだと思います。それは医科用CTになります。
歯科用CTはパノラマX線写真撮影と同様にお顔の周りを機械が一周するだけです。また,必要な部位のみの撮影が可能となり,被曝量を激減させることが可能となりました。
立体的かつ高精細に映し出すことが可能となりましたので,更なる診断の精緻化にへと繋げることが可能となりました。
・電動麻酔器
電動麻酔器は,麻酔をする際に量を自動的にコントロールしながら麻酔薬を注入してくれます。
麻酔の際に痛みが出ないように,かつ効率よく麻酔が効くようにコントロールされています。
・デジタルサイネージ
待合室では,歯科の情報を紙で掲示せずにディスプレイに映し出して,患者さんに情報を提示しております。有用な情報をアニメーションなどでわかりやすく患者さんにお伝えする事ができます。
・口腔内写真撮影
歯科用デジタルカメラやペン型カメラを用いて,口腔内の写真撮影をしております。
現在の口腔内の状況を説明するのに使用し,患者さんに理解を深めてもらうことができております。
また,以前の写真と比較してどのように変化しているかというのもわかるようになります。
↓
治療前後の写真撮影をしておくことで
治療の評価を患者さんに示す事ができます。
口腔内カメラで撮影した画像を患者さんに見ていただき
わかりやすく説明致します
・歯科用顕微鏡
歯科用顕微鏡によって,裸眼やルーペでは見えなかったものが見えるようになります。メガネに装着するルーペですと,2倍から4倍程度の拡大率となりますが,歯科用顕微鏡ですと最大20倍程度まで拡大する事が可能です。
精密な治療を行う事が可能となりました。
写真や動画撮影も可能ですので,治療の様子なども患者さんにお見せすることが可能となります。
・ダイアグノデントペン
虫歯と疑われる部位にレーザー光を当てて,その反射によって虫歯の状態を数値化するのが,このダイアグノデントペンです。
数値によって,治療が必要な虫歯なのか,フッ化物塗布による石灰化を期待できる初期う蝕なのかを判定します。
表示される数値によって,治療するかを判断します
・エコシステム
院内で使用する水は全てエコシステムを使用した除菌水を使用しています。
適切な濃度の除菌水となるようにコンピューター制御されています。
・Er:YAGレーザー,Nd:YAGレーザー
コンピューター制御されたレーザー機器を用いて,照射部位の殺菌,切除を行います。特に殺菌効果が高いので,膿瘍の治療や歯周病急性発作,感染根管治療等に効果を発揮します。
Nd:YAGレーザー
・HealOzone
コンピューター制御の機械によって,オゾンを発生させます。
オゾンによって,虫歯や根管内を細菌を殺菌します。
・歯科用根管長測定器
虫歯が大きく,神経まで達してしまった場合,神経の除去が必要となります。
その際,歯の根っこの先まで器具を挿入する必要があるのですが,それをこの機器を使用して治療を行います。根管のどの辺りまで器具が入っているかを示してくれる機器です。
最新型では,高周波を出すことにより,根管内外での感染組織や汚染物質を焼灼する事ができるようになりました。焼灼後は,人体の治癒作用よって症状の緩和を期待する事ができます。
歯科のデジタル化がもたらすものは
デジタル化によって,患者さんの利便性が向上しました。
しかしそれだけでなく,診断の精緻化,治療の多様化により,患者さんに大きな利益をもたらす事ができました。
そして,最も大きいのは,安全性の向上です。
なかもず松浦歯科・矯正歯科では,歯科医療のデジタル化を推進致しております。
患者さんにとって有益であるものをどんどん取り入れて参ります。
今回,紹介したものの大半はすでに導入しております。
まもなく,歯科用CT,歯科用顕微鏡,新型の歯科用根管長測定器を導入予定です。
治療の精度はクリニックの実力になります。
どんどん実力を上げて,患者さんにたくさんのメリットを与えられるクリニックへと進化致します。
当然,デジタル化に取り残されないよう,スタッフ一同常に勉強をして参ります。
これからのなかもず松浦歯科・矯正歯科にご期待ください。