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なかもず・中百舌鳥の歯科・歯医者

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全身疾患と歯科治療(高血圧・糖尿病・心筋梗塞・喘息)

んにちは。なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。

ようやく8月が終わり,暦では秋になりました。
今夏は本当に暑い夏でした。
例年にない早い梅雨明け,新型コロナウイルス感染症第7波の到来,線状降水帯による多くの水害など,さまざまな事がございました。

しかしながら,厳しい残暑はまだ続きます。皆さん,しっかりと暑さ対策を講じていただきまして,熱中症予防に努めていただきたいと思います。

さて,皆さんは歯医者さんの治療に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

「痛い」
「怖い」

この2つが代表的なイメージでしょうか。

今回は,その歯科治療と血圧,全身疾患についてお話をしたいと思います。

歯科治療と血圧

先ほどの歯科治療における「痛い」と「怖い」
このイメージを持たれる方は非常に多く、歯科治療のチェアを倒すときに特に感じると思います。

怖いという気持ちを持つと,ドキドキしますよね。
この「ドキドキ」というものは心拍数が上昇し,血圧が上がっていくことを示しています。

実際に,治療前に血圧を測定すると,いつもとは違うくらいの高い血圧が出てしまうことはよくあります。

ですので,普段から血圧が高い方ですと,びっくりするくらいの高い血圧になってしまいます。そうなると,非常に危険ですので歯科治療を行うことができません。

高血圧疾患と歯科治療

人間の身体には無数の血管が張り巡らされています。心臓から送られた血液は頭のテッペンから足のつま先までさまざまなところに届けられます。それぞれの細胞に酸素と栄養と届けて,二酸化炭素と老廃物を回収します。

遠くまで血液を届けるために,心臓から勢いをつけて血液を送り出します。その時の勢いをつけるための圧力こそが,血圧であります。

心臓はポンプの役割があります。心臓に血液を溜め込み,そして一気に吐き出します。吐き出す時の血圧が収縮期血圧(いわゆる上の血圧)、溜め込む時の血圧が拡張期血圧(いわゆる下の血圧)になります。

以前にもお話ししましたが、血圧が140/85mmHg以上となると高血圧となります。軽度の高血圧は特に症状は出ませんが、あまりにも高くなりすぎると頭痛やめまいが生じてきます。そして,脳出血などの重大な疾患へと繋がってしまいます。

歯科治療は「怖い」イメージがあります。ですので、どうしても通常時よりも血圧は高くなります。また、治療時に痛みが生じてしまうと、瞬間的に血圧が上昇してしまいます。
ですので、高血圧の方は、歯科では注意しながら治療を行っております。

糖尿病と歯科治療

人間の脳は、糖分のみが栄養となるのを知っていますか?お腹が空きすぎるとふらふらになりますよね。それは、脳に栄養分である糖分が行き届かなくなり、脳の活動が低下してしまうからなのです。

しかしながら、常に糖分が過剰に体内にある状態があります。それが高血糖です。普段であれば、膵臓から出る「インスリン」というホルモンが糖分を筋肉に貯蔵させて血糖を調節しますが、調節がおかしくなり血液中に糖分が多くなるのが糖尿病です。

糖尿病についても以前にお話ししましたが、糖尿病になると『創傷治癒不全』が起こります。すなわち、傷が治りにくくなるのです。

歯科治療では、抜歯などの観血処置があります。血糖コントロールが不良の場合、歯を抜いてしまっても傷が治りにくくなることがあります。また、麻酔の成分には血糖を上昇させてしまう働きのものもあります。

ですので細心の注意を払いながら治療を行う必要があります。

てんかんと歯科治療

てんかん、一度は名前を聞いたことがあると思います。脳には無数の神経細胞が存在しています。その神経細胞が一時的に興奮状態になったときに、意識喪失や身体のけいれんを起こすことがあります。それがてんかんです。

てんかんには様々な発作があります。簡単にいうと「部分発作」と呼ばれるすぐに回復するものと、「全般発作」と呼ばれる意識消失してしまうものがあります。

歯科治療中に発作が生じると、チェアから倒れてしまったり、口腔内を損傷してしまったりと様々なことが起こる可能性があります。
てんかんの患者さんの治療をする場合は,発作が生じたときの対応が非常に重要となります。

甲状腺疾患と歯科治療

甲状腺は、体の活動を高めるようにする物質を作り出します。
すなわち、甲状腺が働きすぎると常に運動しっぱなしのような状態となり、甲状腺が低下すると逆のようになります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺ホルモンが過剰に放出され、身体活動が常に高まっています。ですので、血圧は高くなります。
甲状腺機能低下症(橋本病)は逆となります。

歯科治療では、血圧コントロールが重要となりますので、治療において注意すべき疾患となります。

心疾患と歯科治療

心疾患には様々なものがあります。
代表的なものが,心不全,狭心症,不整脈,心筋梗塞です。

心不全は心臓の働きが悪くなり,息切れやむくみが生じ,やがて生命を脅かす病気です。心膜や心内膜,心筋,弁などが悪くなると起こります。

狭心症とは,心臓に栄養を送る冠動脈という血管が細くなることによって生じる病気です。発作が起こると,胸が苦しくなります。また,歯が浮くような感覚を生じることもあります。

不整脈は,心臓の鼓動が不規則になってしまうものです。様々な不整脈があり,致命的なものから,問題のないものまで様々です。

これらの心疾患をお持ちの方は,心臓内での血流が不安定になることが多く,心臓の内側の膜(心内膜)が傷つくことがあります。
その方に歯科治療を行いますと,血中に細菌が侵入した際に心内膜の傷ついた部分へ住み着いてしまいます。そして,心臓の中に膿ができてしまいます。

この病気を「感染性心内膜炎」と言います。この病気の3割の方は歯科治療が原因であるという報告があります。

心筋梗塞・脳梗塞と歯科治療

心筋梗塞や脳梗塞とは,血栓(血液の塊)が心臓や脳に飛んでしまい,血管が詰まることによって詰まった部分より先へ血液が届かなくなる病気です。血液が届かないと栄養や酸素が行き渡らなくなり,やがて詰まった先にある組織は死んでしまいます。

その様な方は,血栓が出来ないように日頃から血液をサラサラにする薬を服用されています。
ですので,出血を伴う処置をした場合,出血が止まらなくなってしまいます。歯科治療で出血をする処置といえば抜歯です。

抜歯をする場合は,血液をサラサラにする薬を一時的に止めるなど,医科の主治医の先生と相談をして処置方針を決めることとなります。

喘息と歯科治療

喘息とは呼吸での空気の通り道である気管や気管支に炎症が起こり,通り道が狭くなってしまうことによって,呼吸困難になる病気です。
喘息の原因は一つでなく,さまざまな要因が重なって起こると言われております。
その中にアスピリン喘息と呼ばれるものがあります。いわゆる鎮痛薬が原因で喘息発作を生じさせるものがあります。
また,歯科治療中に恐怖を感じた場合,喘息発作が出る場合があります。
他にも,季節の変わり目の温度差,ヘアスプレー,線香の煙,アレルギー,自律神経系の異常などでも生じることがあります。
できれば,歯科を受診の際は,呼吸器科で処方されている吸入薬をお持ちいただけると安心です。

人工透析と歯科治療

慢性腎臓病になると,腎機能が低下してしまいます。そのため,体外で血液中の老廃物を取り出して体内に戻す「人工透析」という治療を行います。
人工透析を行う際には「ヘパリン」というお薬を使います。これは血液をサラサラにするお薬です。ですので,出血を伴う歯科治療には注意が必要です。
また,人工透析を行っている方は,他にも疾患をお持ちの方が多いので,そちらについても注意が必要となります。

その他の疾患と歯科治療

これらのように全身疾患と歯科治療とは密接な関係があります。
「えっ?歯の治療するのに全身の病気が関係あるの?」と思われるかもしれませんが,歯や口は身体の一部分ですので、当然関係してくるんです。
診療を受ける前に問診票をご記入いただきますが、持病をお持ちの方は必ずご記入ください。当然,問診票の内容については,私たち医療従事者には守秘義務がありますので,誰にも漏らすことはありません。

歯科治療で重要なこと

歯科治療では、特に2つのことが重要になります。

①心臓への負担

歯科治療は心臓に負担をかけてしまいます。ですので、虚血性心疾患をお持ちの場合はいつ発症したか、いつ治療したか、最後の発作がいつかなどによって歯科治療の可否を決めます。
また,歯科治療において血圧が上昇してしまう恐れがありますので,特定の疾患をお持ちの方には,治療前に血圧測定を必ず行います。

②抗血栓薬服用の有無

抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は、出血した際に血が止まりにくいという作用が現れます。ですので、観血処置が必要な場合は医科の主治医に相談させていただきます。

皆さんにお願いがございます

問診票には,持病がある場合は正しく記載をお願い致します。
また,飲んでいる薬がある場合は,お薬手帳のご提示をお願いいたします。

なかもず松浦歯科・矯正歯科では,特定の疾患をお持ちの方については診療前に血圧を測定しております。血圧が高すぎる場合には,治療ができない場合がございます。

また,医科の主治医の先生にお手紙を出して,治療の可否や注意事項等の相談をする場合がございます。

安全な歯科治療を行うためですので,皆様のご理解とご協力をお願い致します。

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