こんにちは。なかもず松浦歯科・矯正歯科歯科医師の後藤田です。
気がつけば秋に入ってきました。
朝夕が少しずつ涼しくなり,過ごしやすくなりましたね。
窓を開けっ放しで寝ると、風邪をひいてしまいそうです。
季節の変わり目は体調を崩しやすいですので、くれぐれもお身体をご自愛ください。
また、予報によると、昼間はまだ真夏日があるとのことですので,くれぐれも熱中症にはお気をつけください。
物価の高騰
ニュースを見ていると、様々なものの値上げの話題をよく聞きます。
特に4月や10月に一斉値上げという話をよく聞きますね。
食料品を買いにお店に行くと,「あれ?こんな値段だったかなぁ?」と思うことがよくあります。
今年は特に、全商品が一斉に並んで値上げしている感じがあります。買い物も上手にしないといけない時代になりましたね。
値上げには様々な理由があるのでしょうが,最も大きな理由はロシアのウクライナ侵攻でしょうか。また未曾有の急激な円安傾向でもありますので,輸入品の価格が非常に高騰しております。
そのような中,歯科の世界でも様々な材料の価格が高騰しております。
その中でも圧倒的に一番のものは金属です。
いわゆる銀歯と呼ばれる詰め物と被せ物です。
銀歯と呼ばれるものは,実は様々な金属の混ざった合金なのはご存じですか。
主成分は銀なのですが,金や銅,そしてパラジウムと呼ばれるレアメタル(希少金属)が含まれております。
金は,ここ何年も価格が上昇傾向で、値下がりする気配がみられません。20年前に比べると、価格は6倍以上にも高騰しております。
そして,パラジウムにいたっては,ウクライナとロシアの紛争の影響をまともの受けてしまい,非常に高騰しております。
パラジウムの主要産出国はロシアですので,影響が直撃してしまっております。
また,パラジウムは自動車産業にも非常に重要な鉱物として使われており,他産業との取り合いにもなってしまっております。
各国で取り合いになり,産業ごとに取り合いになり,結果価格が価格が高騰してしまっています。
保険診療では,国が決めた公定価格となっておりまして,日本全国どこで治療をしても同じ値段になるようになっております。しかし,金属の仕入れは相場に変動されてしまいます。
難しい話を書きましたが,一言で言うと,銀歯の値段はかなり高騰していると言うことです。患者さんの負担金も以前よりも高額になっております。
そこで,保険診療に新しい技術が導入されました。
①CADCAMの適応
CADCAMという言葉はご存じでしょうか。
工業界ではよく使う言葉なのですが,近年歯科業界でも使われるようになりました。
Computer Aided Design
Computer Aided Manufacturing
これらの略称がCADCAMです。
コンピューターでデザインして,コンピューターが削り出して作るという感じです。
今までの銀歯等は歯科技工士さんが手作業で作り上げていましたが,今はコンピューター上で設計して,ブロックを削り出して被せ物や詰め物を作り出します。
CADCAM冠の保険適応拡大
歯型を採ったら,コンピュータでスキャンしてデータを取り込み,コンピューター上で被せ物の設計をします。
そして,そのデータに基づいて歯のブロックをコンピューターが削り出していきます。そして,白の被せ物が出来上がると言うわけです。
それが,1番目から5番目の歯まで保険適応されました。そして,6番目の歯も条件付きで保険適応となりました。
CADCAMインレーの保険適応
先ほどのCADCAM冠とは,被せ物の話でした。
CADCAMインレーとは,歯の詰め物の話です。
「銀歯を詰める」と言うのは昔はよくありました。銀歯が入っている人は多いと思います。
それが,条件付きで4番目から6番目までの歯で保険適応となりました。
CADCAMの素材
CADCAMで使われる素材は,高強度レジンというもので,いわゆる樹脂のようなものです。ですので,ご自身の歯のような透明感は再現することができません。しかしながら,白い樹脂ですので,銀歯よりは見た目が良いとは思います。
しかし,樹脂でありますので割れてしまう可能性があります。ですので,なるべく割れないように厚みをつける必要があります。それは,歯を大きく削る必要があるということです。一長一短があるということになります。
②チタン金属への応用
金属については,今までよく使われてきた金銀パラジウム合金と呼ばれる銀歯の材料から,新しくチタンを使うことが保険で認められるようになりました。
奥歯ならチタン冠,前歯ならチタン前装冠(チタンの冠で唇側に白のプラスチックがついているもの)が使えます。
チタンは,金属アレルギーも少なく生体親和性に優れています。歯科用インプラントや人工股関節など,様々な医学分野において使用されております。
また,軽量で調整等扱いやすいいい素材です。
ただ,今までの金銀パラジウム合金は溶ける温度が900度くらいなのですが,チタンは1700度弱となりますので,作るのが大変です。
金銀パラジウム合金はガスバーナーで温めると溶けますが,チタンはガスバーナーでは溶けません。チタンの場合は,特別な装置が必要となります。
自費診療は必要ない?
今までは,白い被せ物や詰め物をするには自費診療となってましたが,もう必要ないのでしょうか?
保険診療での白い詰め物や被せ物は,レジンという素材で作られています。レジンは吸水性があるという特徴があります。
すなわち,紅茶やコーヒー,お茶,ワインなどの着色性のあるものを吸収してしまいますので,やがて着色が広がっていきます。
それに対して,自費診療に使われるジルコニアやセラミックになると吸収性がないので,比較的長期間きれいな状態を保つことができます。
分かりやすく言うと,プラスチックの食器は変色しますが,陶器の食器は変色しません。セラミックスは陶器と同じです。
やはり,長期間審美性をしっかりと保ちたいという方,しっかりとした詰め物や被せ物をしたいという方は,自費診療の素材がお薦めです。詳しくは,歯科医師にお尋ねください。
ジルコニアセラミック
オールセラミック